6月18日(土)

当日。30分程早く目覚める。左肩が少し痛むのは寝違えた所為か。天気はどうやら問題ない様子。旅はもう始まっているのだと、起床時間の時計をパチリ。準備を確認し、N氏にモーニングコールがてら、待ち受け画像を送信。中途半端に時間を持て余し、むやみに煙草をふかしてから、出発。駅でもパチリ。少し視線が気になるところ。
梅田でN氏と待ち合わせ。見送りのS嬢が先に来ていた。首から提げたサンバイザーとTシャツには同じマーク。知ってる人が見ると「あっ!」となるようだ。N氏も到着し、JRから新大阪へ。新幹線の切符は市内乗り放題だと、数日前までは知らなかった次第である。新大阪の駅でもパチリ。
あまり入る機会もないので、駅構内を少し物色。駅弁を買うと旅情気分は倍増だ。新幹線が駅に到着する少し前にホームへ。滑るように入ってきた車体は流線型で、速さをアピールしているようだ。新大阪発ではなかったので停車時間はほとんどなく、S嬢に手を振っていると、東京までの距離は縮み始めた。
今回取った席は、僕の要望で喫煙席。もうもうと煙渦巻く灰色の社内だと聞いていたが、どうやらそうでもない様子。社内をワゴン販売が行き来する。旅してるのだなぁと、気持ちの高ぶりをN氏と話していると、あっという間に名古屋へ到着。
時間も頃合いなので昼食。駅弁はあたたかくないのだと知る。席は富士山側。二人外を眺める。前の席には家族連れ。十歳くらいの少女が一人いて、富士山のことを何度か口にしていたので、近付けば動きがあるだろうと結構気楽に構えて談笑。が、しばらくして、母親らしき女性から発せられた言葉は「もう富士山過ぎたね」。見事に見逃したようだ。
座席車両の電光掲示板に、次は東京の文字。東京パールコーポツアー上リ電車編はあっという間に幕を閉じた。
東京駅到着。感慨に更ける間もなく、Y氏より通電。「もうちょっとで到着する」と少しだけ時間を稼いで、お土産を探しに。大阪の手土産としてナボナ(東京土産ど真ん中)を渡す予定だったが、ゆっくり物色する時間もなく、近くで売っていた東京ばな奈へシフト。
JRの乗り換え口でY氏と落ち合う。久しぶりの邂逅やら、二時間半のトリップの余韻、いろんな気持ちが綯い交ぜで、テンションは高め。まずはY氏の住む、そして三日間の定宿になる三軒茶屋へ。
山手線?おぉーおぉー!半蔵門?おぉーおぉー!有楽町?おぉーおぉー!と聞いたことがある名前にいちいち過剰反応。JRの車内には広告のテレビジョン。ここで騒ぐのはみっともない。が、どうせ誰も知ってる人はなし。わざと大げさに騒いでY氏を辟易させる。
JRは渋谷駅到着。ここから乗り換えだが、せっかくなので途中下車。思った通りに人が多くて、平均年齢も若い街。なんだかみんな「自分は間違ってない」って顔をしてる気がする。昔に一度来た時と、街並みの様子はそんなに変化がないように見える。
30分程主な道をブラブラすると、もうだいたいわかった気分。街の顔は裏通りや路地にあって、表通りにはないのだ。本当に楽しみを探すなら、もっと突っ込んで歩くべきだろう。が、そこまで渋谷に興味はない。
狂った梅雨、アスファルトから立ちのぼる熱気でとても蒸し暑い。地下の雑貨屋と本屋を覗いてまた駅へ。ロゴスギャラリーは名前だけ知ってたので「ここやったのか」という感じ。
渋谷駅からは田園都市線(だと思う)で三軒茶屋へ。駅の色がそれぞれ違うカラーアイデンティティーは、バリアフリーかユニバーサルか。三軒茶屋の英語表記が「Sangen-jaya」なのに気付く。サイトに置いてきたデスクトップはスペルミスだ。
壁のタイルがイエローの駅に降り立って改札、まだ真新しい地下道をテクテク歩くと、そびえ立つキャロットタワーがお出迎え。チンチン電車みたいなのを後目に、アパートが建ち並ぶ細い道をぬって歩くとY氏の家、パールコーポに到着。東京タワーでもお台場でもない、今回のツアーの目的地だ。
スッキリした部屋で小休止。Y氏に本当のお土産のパールコーポツアーグッズをプレゼントする。Y氏のお気に入りの喫茶店(カフェではない)で、作戦会議をすることに。
出かける用意ができたら、靴を履いてまたアパートの間をすり抜ける。若い人が結構住んでいる様子。駅の近くには、いろんな店達がギュッと集まってすまし顔。東京は全部そんなもんなのかもしれないが。
駅前、古い映画館は右から文字が書いてあり、封切場との表記。向かいにある、もうやっていない歯科医院はロゴが何とも格好良い。
ルート246を渡って、少し賑わいのある商店街をひとつ右に入ると、また少し落ち着きを取り戻す住宅地。その一角にあるツタの這った個人宅然としたのが、Y氏おすすめの喫茶店「我蘭童」だ。ツタで隠れて屋号は半分見えない。ジブリに出てきそうな雰囲気。ドアを開けて一歩。結構お客さんは入っているが、「やたら落ち着く」というY氏の言葉がストンと内に入る。座った席からは小さな中庭が見え、大きな木。うろがいい感じ。飲んだり食べたりしながら、ひとしきり談笑。六本木ヒルズへ向かうことに可決。
今度は半蔵門線と大江戸線を乗り継ぎ六本木へ。地下鉄が二段になっているのは驚いた。おかげで上り下りが大変。夕暮れで街並みは少し暗い。渋谷よりは年齢が高めか、90年代初頭のバブリーな香り。多くの異国の人たちが通り過ぎる。歩いていると突然敷地が広くなり、六本木ヒルズに到着。あのギーガーが作ったみたいな変なモニュメントも見れた。
せっかく来たのでと、上までのぼってみることに。展望台と森美術館。海抜250mから見る東京はとてもよかった。思ったよりも緑はあるし、建造物にメリハリがあって面白い。小一時間ですっかり東京満喫の気分だ。
展望を楽しんだあとはひとつ下の森美術館へ。ロゴはジョナサン・バーブルックだ。全く期待していなかったものの、見ていると意外に楽しい。広い空間で見る大きな作品というのは、それだけで何か心に響くものがあるものだ。制作の意図や手法から、どんな場所でどうやって作っているんだろうか、という些末な疑問まで様々な刺激が心地よい。中には全く意味がわからないものもあるが、無理に理解しようとするのは疲れるだけ。わかるポーズはヤンピである。
ついでに森都市未来研究所も冷やかす。ロゴタイプは少しレトロモダン。東京の地理がいまいちわからないので、都市模型を見てもさっぱりイメージが湧かない。上の展望台で充分だと思うのだが。映像ブースの「東京スキャナー」は映像が綺麗で面白かった。
すっかり堪能したものの、人あたりで疲労感。空腹も抱えているので食事に向かう。外はすっかり夜の顔、また外人達とすれ違う。ルマンドの前も通り過ぎ、少しブラブラ。足が疲れたのであまり吟味せず、居酒屋風の地下のお店へ。
ほとんどお客も入っていなくて、これは失敗かと不安がよぎる。まずはビールで乾杯。メニューを注文。箸でつつきながらほんのり語る。こういう語らいの場は、年齢を重ねると共に、大事だなぁと思うようになった。店は特筆するほどではなく、料理も普通。だが、店員がしゃべる言葉に東京と大阪の違いを強く感じた。
オーダーストップで店を出て帰路。同じルートを辿ってベースキャンプへ。荷物を置いたらみんなで銭湯へ向かう。町中のとてもノーマルな銭湯は、時間も遅いのに結構な入浴客。一人ポツンと湯船に浸かる銭湯ってのは、なんだか想像がしにくい。銭湯ってのは、なんでいつでも人がいるのだろうか?
ゆったり浸かって体のだるさを洗い流す。さっぱりしたあとは、ドリンクを手に入れるべくコンビニへ。風呂あがり、夜風と暗い街並みが心地よし。寝る準備をしてけたけた笑い話をしながら就寝。