6月19日(日)

9時頃起床。眠たい眼をこすりながら朝ご飯を買いに行く先は、またまたY氏おすすめのパン屋さん。寿司屋を改装して、カウンターケースを上手く利用した面白い造り。三人でいろいろ見繕い、みんなで分けてモグモグ。
準備を終えて出発。下北沢までを徒歩でテクテク。結構閉まっている店も多い。代沢十字路付近のガードレールにステッカーをピタリ。TPCの足跡其の壱だ。
下北沢に着いた頃には、強い日差しと湿気を含んだ熱気にすっかりやられて、三人とも言葉は少な目。街並みは雑多で渋谷よりもゆるく感じる。僕にはこちらの方が馴染む。若い人が多く、アメリカ村の雰囲気と近い印象を持った。
ウロウロと流していると、ハイラインレコーズを発見。知ってる店があるとなんとなくうれしい。屋根裏はここにあったのかと驚き。向かいの標識にまたもステッカーをピタリ。高架の裏には曼陀羅模様。どうやって描いたのだろうか。
疲労の色が濃い三人。次の目的地池袋で休憩することにして、電車に乗り込む。小田急線から乗り換える新宿駅は、ただ人が多い印象のみ。
さっさと山手線に乗り込もうとする刹那、先導のY氏がフラリ電車と反対側へ移動。売店に向かうのかと思ったが、誰かに話しかけている様子。よく見ると白い杖。Y氏のエスコートで逆のホームへ向かうようだ。こういう事が自然にできるY氏がすごいなと思う。僕は全然気付かなかったし、気付いてもスルリと自然に声をかけることができるだろうか。質か量かはTPOによって違うだろうが、自分のこと以外に目を向けることができるのはステキなことだと思う。
送り届けて、再度ホームへ戻ると電車が来たので滑り込む。暑さでグッタリの三人にエアコンの冷風がお出迎え。ゆっくり涼む間もなく、電車は池袋に到着。「じじぃとばばぁとヤクザばかりだ」とドラマでも言っていたこの場所は、僕の要望である。たしかに少し年齢層は高いかもしれない。西口公園も東京芸術劇場も見れて満足。黄色いシャツを着てくればよかったかと思う。めぼしい休憩場所が発見できず、サンシャインシビルウォーの舞台も通り抜け、サンシャイン60の方へ。
何かイベントでもあるのだろうか、すれ違う人がオタク色にほぼ染まる頃、サンシャイン60に到着。フロアを二つ上った飲食店街で、昼食。東京と大阪の大きな違いのひとつは、うどんとそばの文化だろう。大阪ではうどんが先に来るのが当たり前だが、こちらでは「そば・うどん」と表記されるのが通常なようだ。東京の人は店に並ぶのにも抵抗はあまりない様子に見える。少し並んでから店内に案内され、そばを注文。ざるそばが乗せられた蒸籠が三段に重ねられ、一枚ごとに追加できるようだ。普通のそばつゆではなく、鴨南蛮の出汁にざるそばをつけて食べる。Y氏も同じ鴨、N氏はとろろ。歴史ある老舗の蕎麦屋などではなかったのだろうが、新しい味と食感に、違う文化に触れた気分でご満悦。疲労は少し回復。
しかしながら、暑さはかなりのもの。この調子でブラついてもあまり、楽しめそうもないので、見てみたかった秋葉原はスルー。山手線で池袋から30分弱、新橋でゆりかもめに乗り換え、台場へ。
東京の街並みをひきで見るのはやはり楽しい。あれがレインボーブリッジか。体力があるなら歩いて渡りたいと思うが、それだとあまり景色は楽しくないのかも。台場で降りてフジテレビへ。僕はあまりテレビジョンを見ないので、知っている番組や芸能人は少ない。それでもスタジオが覗けたりするのは面白いものだ。
海抜123.45メートルの展望台、景色は少しかすんでいたのが惜しいところ。土産物達を冷やかして、海浜公園へ。潮の香りはほとんどしないが、風が心地よい。屋形船がたくさん浮かんでいるのがフジテレビとミスマッチで面白い。計画のひとつであったスケッチブックを取り出して、海辺でスケッチ。本当は東京の街の真ん中でしたかったのだが、なかなかかなわず。スケッチをするといつも、イメージしているよりもデッサン力のないことに気付き落ち込む。
まだ夕闇もなりを潜める夕方、水上バスで浅草まで行けるというので、チケットを購入し乗り込む。船のデッキで潮風を肴に盛り上がる三人。日の出桟橋で乗り換え、今度は隅田川を上る。幾つもの橋を潜り、高層マンションやオフィスビルの横をすり抜ける。自分が住んだらここを散歩してるかなと妄想。しかし、東京はしっかりと目標を持って生きないと、流されてしまいそうな雰囲気がある。追われるように何かを追いかけなければ、認められない。そんな圧迫感が街のあちこちに充満してるみたい。追うのが苦手、自分に甘い僕ならイチコロ。追うのを諦めすぐ流されてしまいそうだ。
空が暗くなる頃、浅草に到着。船着き場は吾妻橋のたもと、向かいにはあの変なオブジェだ。トイレ付近の案内板の隅にこっそりステッカーをピタリ。これでまだ三つ目。雷門を見上げると、東京に来たという感慨が強くなるから不思議だ。仲見世はほとんどが店じまい。チラホラ明かりを灯すお店を流しながら、浅草寺の境内へ。
神社やお寺の境内は、時間の流れがのんびりしているといつも思う。仏や神のおわす場所、当然といえば当然かもしれない。浅草寺も千社札は禁止している様子。仲見世通りの柱のすみに、こっそりピタリとステッカー。
いい感じにくすんだ商店街を抜け、浅草一丁目一番地、神谷バーへ。店の名前は知らなかったが、ここのブランデー「電気ブラン」は一度飲んだことがあった。ワクワクしながら中に入る。
大正ロマン、昭和モダン、ステキに古くさい洋食屋の店内は、楽しそうに食卓を囲む人たちでいっぱいだ。平均年齢は45歳くらいだろうか、一通りの人生経験を積んできたくらいの年齢の人が主要な客層。ホールの店員はみなタキシードに蝶ネクタイのユニフォームで、注文伝票はなく、変わりに食券を渡される。追加注文はテーブルでその都度精算、券を半分にちぎる手際は、お見事である。
ビールで乾杯し、なんとなく懐かしい味の洋食達を口に運びながら談笑。水上バスは、東京で生活しているY氏にも新鮮だったようで、三人とも満足な観光コースだった。杯が乾いたので、今度は電気ブランを飲んでみる。ピリピリ舌を刺す刺激とは裏腹に、味はまろやかで甘い。
しばらく楽しい食卓を囲んでいると、別の席にいた初老の客人達が、離れたテーブルから声をかけてきた。神谷バーが大好きな人たちなのだろう、どことなく常連っぽい雰囲気。若輩者が電気ブランを飲んで、楽しそうにしているのがうれしかった様子。
近くまで寄ってきた男性は、いい加減に酔っぱらっていて、何度も「ありがとう、また来てな!」と笑顔を見せる。何故、関西弁なのか訪ねると京都の人だそうだ。着ていたTシャツの背中にはスワンボート組合の表記。でもボートは別にやっていないとのこと。いまいち話は飲み込めないが、酔っぱらいとの会話はそんなもんだ。楽しそうな笑顔はとても幸せそうで、神谷バーの店内にはよく似合っていた。
程良く飲んで店を出る。浅草からは銀座線。しばらく電車に揺られ表参道で下車。夜の街並みをブラブラ歩こうという趣向だ。初夏の熱気も夜になれば少しは落ち着くようで、肌に触れる空気がひんやりと、酔った身体に心地よい。灯りがおちたビルの谷間をテクテク歩いて、原宿の竹下通りへ。ここにもひとつステッカー。渋谷に差し掛かるあたりの高架下にももうひとつ。
酔いも醒め、徒歩とネオンの熱気にうだった身体を引きずり、渋谷駅からまた三軒茶屋へ。さすがにおつかれ。
この日はサッカーがあったので、宅風呂で済ませ、サッカー観戦しながらペチャクチャ。スポーツ観戦にはほとんど興味がない僕が、楽しく見れたのは、ジーコのアテレコの所為だ。日本中が真剣な眼差しで見守るサッカーを爆笑しながら観戦。サポーターが見れば怒られるだろうか。爆笑の余韻を残しながら、就寝。